季節によって肌荒れがひどくなったり、太りやすかったり、体調を崩しやすかったりすることはありませんか?
自然のなかで生活をする私たちは、自然の変化に影響をうけやすく、それぞれの季節によって体のバランスも変わります。
薬膳では四季にあわせた食べ物を選ぶことで、崩れやすい体のバランスを体のなかから整えて、それぞれの季節におこりやすい体調やお肌のトラブルを予防してくれます。
季節にあった食材選ぶポイントのひとつが「陰陽」の考え方です。
陰陽は人と自然の関係や、私たちの体の状態を説明するのに役立ちます。薬膳では陰陽を参考にして体のバランスを食で整え、ひとりひとりにあった食のセルフケアができます。
今回は陰陽の考え方をつかって、季節にあった体に良い食材を選ぶコツを国際薬膳師である薬膳ひかりがご紹介します。
陰と陽の良いバランスが大切
陰陽というと、なんとなく陽が良くて、陰が悪いというイメージをもつことがあるかもしれません。陰陽学説では陰と陽どちらも不可欠としています。
例えば、男性は陽、女性は陰とされています。どちらかひとつに優劣があるのでなく、どちらも大切です。どちらかひとつのみになっても困ったことになります。
陰と陽は正反対の存在でありながら、どちらも必要で、つねに動きながらバランスを保っています。どちらかにかたよるのではなく、ちょうどよいバランスがとれていることが大切です。
他にも、「天と地」、「太陽と月」も陰陽の組み合わせです。どちらが欠けても自然が成り立たなくなります。陰と陽がバランス良く存在することが大切です。
この陰と陽の考え方は私たちの生活に大切なヒントをくれます。中国で誕生した中医学はもちろん、風水や占いでも、この陰陽の考え方をとりいれています。
季節や年代、体調や体質で陰陽のバランスは変化します。そのときに、陰陽のバランスをうまく整えると健康であり、このバランスがくずれてしまうと体調を崩してしまうのです。
人の体の陰陽のバランスが崩れてしまったときに、食べ物や飲みものをとおしてバランスを整えるというのが薬膳です。
陰陽と季節
陰陽はバランスが大切ということをみてきましたが、体への影響を知るために季節での陰陽の変化をみていきましょう。
陰陽は自然の摂理とともに変化していきます。例えば1日のなかでも昼間が陽で、夜が陰。自然のなかの陰陽は季節でも移り変わります。
陰と陽のバランスがとれている春分から夏にむけて陽が強くなり、陰は少なくなっていきます。日が大地を照らす時間が長くなり、気温も高くなります。夏至では陽がもっとも多くなり、1年で日照時間がもっとも長くなります。
そこから秋に向かって陰が少しずつふえていきます。秋分には春分と同じく陰陽のバランスが同じになり、陰が多くなる寒い冬がやってきます。冬至には陰がもっとも強くなり、日の出ている時間も1年でもっとも短いです。
自然のなかで生活する私たちの体も、この陰と陽の変化に影響をうけます。
季節の体の変化と体を整える方法
では季節は人の体にどのような影響を与えるのでしょうか。陰陽の変化にどのような対策をとればよいか、体を整えるおすすめの食材とあわせてご紹介します。
春
春は冬の陰が強い季節から陽が徐々に強くなっていきます。寒い冬から体のこわばりがとけ、陽を育てて夏への準備をはじめます。気が上昇しやすくなるため、頭痛やめまい、目の充血や鼻のむずむずするなど上半身のトラブルが多くなります。このようなときには、陰の食べものをいただいて、陽とのバランスをとります。
【落ちつかせる陰の食材】
ペパーミント、菊花
夏
陽の強い夏は汗をよくかいたり、熱が体にこもり、あせもやにきびなどの肌トラブルがおきやすくなります。陰の食べ物をとることで、体にこもる熱を冷まし、失った水を補給します。
【体を冷やし潤す陰の食材】
トマト、キュウリ、ゴーヤ、セロリ、すいか、メロン、バナナ、豆腐、緑豆、緑茶
夏薬膳についてまとめた記事はこちら↓
秋
立秋にはじまる秋は、徐々に乾燥がはじまります。肌や髪、のどや鼻の乾燥や顔の小じわが気になります。乾燥は陽グループのため、陰の体を潤す食材をとり、体のなかから乾燥対策をします。
【潤す陰の食材】
白きくらげ、白ごま、松の実、卵、牛乳、豆乳、ゆり根
秋薬膳についてまとめた記事はこちら↓
冬
陰の強い冬は寒さで体が縮こまり、顔色がさえず、手足やお腹、腰が冷えて、痛みをともなうこともあります。そんなときは体をなかから温める陽の食べ物をとり、陰陽のバランスを整えます。
【体を温める陽の食材】
もち米、にら、しょうが、羊肉、鹿肉、エビ、栗、くるみ
冬薬膳についてまとめた記事はこちら↓
まとめ
季節の陰陽と体の変化、季節にあった体を整える食材をみてきました。
自分にあった食事や食生活を知るため、陰陽の考え方はたくさんのヒントをくれます。
薬膳で体を整えるために陰陽学説と一緒に知りたいのが「五行学説」です。
こちらの記事もご覧いただくと、薬膳を生活に取り入れるための2本柱を知っていただくことができますので、ぜひご覧ください。