豊かな四季が訪れる日本には、東西南北の地それぞれに特有の気候や、郷土で紡がれた文化から誕生した食があります。何千年以上もの長きにわたり中国で受け継がれてきた【薬膳の知】と日本の気候や文化が食と織りなしてきた【日本の郷土食】が融合した薬膳レシピは、現代の私たちの健康と美を叶えてくれます。
その第一回目は「新潟xうち豆」です。
新潟の雪と伝統保存食【うち豆】ストーリー
日本海に面する新潟は、古くから長い冬に降り続く雪から豪雪地帯といわれてきました。その新潟で受け継がれてきた伝統保存食の「うち豆」は、今でも新潟の食文化を支えています。
新潟に深々と降る雪が紡いてきた伝統食「うち豆」
長い冬を迎える新潟は、大陸からの乾いた風が日本海をこえるときに湿った空気をたっぷりふくむため、日本海に辿りついた雲にはこの水分がもたらされ、雪を降らせることとなります。
雪に包まれた町々は陸の孤島になることも多く、昔は雪の季節が訪れる前に保存食を蓄えてきたのです。そのうちの一つがうち豆です。
うち豆
新潟県で古くから伝わる伝統食です。長く保存できるよう、蒸した豆をつぶして、乾燥させてつくります。青大豆でつくったうち豆もあります。
すでに火を通して柔らかくしたものを乾燥させているので、食べる時には、水で戻して10分ほど火をとおしていただきます。煮ものやお味噌汁などにそのままいれて煮るなど、料理に幅広く、かんたんに取り入れられています。
新潟をはじめ、北陸や東北の豪雪地帯で昔から保存食として人々のくらしに寄り添ってきました。
うち豆の原料【大豆】と薬膳
大豆薬膳メモ
【素材の分類】 余分な水分を外にだす
【五味・四気・帰経】甘・淡・微寒・脾/胃/肺
大豆はカラダのなかの湿を外にだし、脾・胃・肺を養います。梅雨時期は脾のはたらきが活発になるので、脾を補い、邪気である湿邪が入り込まないようカラダを養生するのにぴったりの素材です。
うち豆レシピ
うち豆の素の姿である「大豆」は梅雨の薬膳で数多く登場する食材です。梅雨にピッタリのうち豆薬膳レシピをふたつご紹介します。
梅雨も元気に!うち豆ごはん
新潟の名産「米」と伝統保存食「うち豆」をつかったレシピ
米は「気を補う」&「脾を補う」食材で梅雨時期にはたらきが活発になる「脾」を元気にします。大豆が余分な湿をカラダの外にだし、しょうがが気の巡りをよくします。
材料
- 米 2合
- うち豆 30g
- しょうが スライス2枚ほど
つくり方
- 米を研ぎ、2合分の分量より30㏄ほど多く水をいれる
- セットしたお米と水の上に、うち豆とスライスしたしょうがをのせ、通常通りに炊飯スタート
- 通常通り蒸らしたら、完成
薬膳メモ
うるち米
【素材の分類】 余分な水分を外にだす
【五味・四気・帰経】甘・淡・微寒・脾/胃/肺
大豆
【素材の分類】 余分な水分を外にだす
【五味・四気・帰経】甘・淡・微寒・脾/胃/肺
しょうが
【素材の分類】 余分な水分を外にだす
【五味・四気・帰経】甘・淡・微寒・脾/胃/肺
ダブル除湿!うち豆コーンスープ
湿気でカラダにも余分な水分が溜まりやすい季節レシピ
大豆とともに湿気をカラダの外にだすとうもろこしもつかって、ダブル除湿!玉ねぎは気の巡りを良くするので、余分な水分をカラダの外にでるサポートをします。
材料
- うち豆 30g
- クリームコーン缶 1缶(内容量400g)
- 玉ねぎ 100g
- 水 400cc
- 鶏ガラスープの素
つくり方
- 玉ねぎをみじん切りにして、甘味がでるまで鍋で炒める
- クリームコーン缶を鍋にあけ、水とうち豆も鍋にいれる
- 沸騰したら弱火にして、鶏ガラスープの素をいれ、必要であれば塩で味を整えて完成
薬膳メモ
大豆
【素材の分類】 余分な水分を外にだす
【五味・四気・帰経】甘・淡・微寒・脾/胃/肺
とうもろこし
【素材の分類】 余分な水分を外にだす
【五味・四気・帰経】甘・平・脾/胃/肝/腎/大腸
玉ねぎ
【素材の分類】 気の巡りを良くする
【五味・四気・帰経】甘・辛・温・脾/胃/肺/心